乾陽亮設計事務所のデザイン NewsLetter #15

仏壇 湖望

現代の和のかたち

仏壇 湖望

仏壇 湖望

逆説的ですが、障子と畳の伝統的な空間の中で成立する現代の仏壇を考えてみようと思いました。伝統の空間の中で今様の生活を築くのはむしろ先鋭でしょう。その生活と空間の中では、量塊感を持ってしまう扉付きの木の箱は重々しい。もし虫籠のように軽やかに結界を作りながら存在する仏壇があるならば、書院にすら見合うように感じました。いわば、仏間がない架空の世界の書院に置くための今様の仏壇です。

「湖望(こぼう)」は、無垢の桧格子でつくる祭壇です。釘を使わずに組んだ桧の四方枠を重ね、その内部に太鼓の胴にも使われるブビンガを2枚挿入して須弥壇とし、背板に高岡の伝統工芸品である鮮やかな緑青銅板を張っています。格子を通して斑らな光が落ちる緑青銅板を湖面として、湖を望む窓に見立てたことから「湖望」と名付けました。


IMG: 重ねのかたち

重ねのかたち

「重ね」は日本文化の特徴のひとつだと僕は考えています。直接的な形態の「重ね」もそうですが、本来と目的とは異なる在り方や概念をそのものの存在に重ねて楽しむ「見立て」も「重ね」のひとつの在り方だと考えています。この多元的な「重ね」という手法を取り入れた、現代の和の在り方を提案できていれば幸いです。


IMG: 軽やかに結界を作る

軽やかに結界を作る

本来仏壇は位牌を置く場所ではなく、ご本尊を祀る場所です。現代的な仏壇と言え、仏壇産地から出すには御本尊をお祀りする「仏壇」を提供するべきと考えました。御本尊も祀れ、持っておられる位牌も置ける、しかしその中で「軽さ」を出すことに挑んでいます。


IMG: 彦根仏壇の木地師のしごと

彦根仏壇の木地師のしごと

彦根仏壇の木地師、伝統工芸士でもある大橋賢嗣氏と開発しています。四方枠は15mm角の桧の無垢材を、釘を使わずにひとつひとつ狂いがないよう丁寧に手で組み立てらています。
須弥壇はブビンガという和太鼓の胴にも使われている赤く濃い色の木で作り、3箇所に磁石を埋め込んで札板や掛け軸など自由に取り付けることができるなど、細部まで丁寧に仕事をしています。


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昔から仏像や仏具の製造が盛んだった富山県高岡市で培われた銅の表面加工技術。湖望の背板には高岡の「緑青処理」を施した銅板を張っています。
酸化被膜なので、発色や表情は長年変わりません。


2月 展示会出展情報

・「伝統的工芸品展WAZA2018 特別販売会」
2月8日(金)〜14日(水)
東武百貨店 池袋店にて
※産地からメンバーがアテンドが常駐しています。

・「伝統的工芸品展WAZA2018」
2月16日(金)〜21日(水)
東武百貨店 池袋店にて(展示販売のみ)


仏壇 湖望 DATA
Material: ヒノキ、ブビンガ、シナ合板、緑青銅板
Size: W225 × H315 × D180mm
Design: 乾 陽亮
Photo: 大野 博(大野博写真事務所)
Manufacturing: 大橋 賢嗣(伝統工芸士・大橋木工所) 

販売価格:¥98,000(税別)
※仏具などは別売
 
ご購入などの相談は「ナナプラス」まで。
 
ナナプラス事務局(吉田松蔵商店内)
〒522-0085 彦根市新町39
TEL.0749-23-8322
FAX.0749-23-8321
Email 
URL http://www.nanaplus.jp/


本メール内容についての問い合わせ先

乾陽亮設計事務所
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