伝統工芸の町、彦根で作る漆塗りの甲冑「伝匠彦根甲冑(でんしょうひこねかっちゅう)*」のブランディング・デザイン。
彦根は仏壇の産地として知られますが、仏壇製造の技術は江戸時代中期頃に甲冑の職人から伝えられたと言われています。その仏壇を手がける職人が「甲冑本来の優美をまとう」をコンセプトに、金箔や漆など本来の輝きを備える工芸品としての美しさを持つ甲冑を製造しています。その販売を開始するのに際し、そのブランディング・デザインを当事務所が担いました。
ロゴは将来商品に付ける可能性も考慮し、篆書体を元にした印章をロゴとして使うことを提案しています。甲冑やその写真とともに使う極印として、奇をてらわずにトップブランドとして誇り持つにふさわしいものとなるよう願っています。
質感が素晴らしいことから、カタログには写真を大きく掲載し、そのその質感を伝えることにしています。
甲冑は数々の技巧を凝らされており、日本の工芸の中でも頂のひとつでしょう。その工芸の確かな質感と、彦根に伝わる匠の方々の誇りを伝えることができていれば幸いです。
*「伝匠彦根甲冑」は商標出願中です。
近江彦根藩第二代藩主の井伊直孝の所用と伝えられる朱漆塗の甲冑は、後の井伊家代々の甲冑の基準となった名品です。これを現代の彦根に受け継がれきた伝統技術で、可能な限り忠実に再現して販売します。
漆塗り本来の輝きを持つ甲冑を作っているのは、現在は全国でも彦根だけです。
厚さ0.8㎜の鉄板や細部の鎖部まで朱漆で仕上げ、兜に付いた2本の角のような天衝脇立は本金箔押しを施し、錺金具は鍍金で金本来の輝きを持っています。
カタログは、表を井伊家の赤備えにちなんで赤で統一しています。質感を伝えるために、写真を可能な限り大きく掲載することを考え、厳選した3枚のみで主な紙面を構成しています。
ブランド・ステートメント
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彦根に伝わる匠の技
甲冑は戦場を駆けまわる機能、そして自己と家臣を鼓舞し武勇を誇示する優美さを備える日本の工芸の頂のひとつです。
彦根藩三十五万石の城下町として繁栄した彦根は、彫金や蒔絵、日本刺繍などをはじめ、さまざまな匠が活躍する工芸の町でもありました。藩主である井伊家代々の甲冑製造を手がけ、その匠の技は仏壇製造へと移り、現在まで受け継がれています。彦根でつくられる伝統的工芸品「彦根仏壇」は1975年に国から指定を受け、その高度な技と品質は全国に認められています。
「伝匠彦根甲冑」は、その彦根に伝わる漆塗や餝金具、金箔押などの匠の技を注ぎ込み、甲冑本来の輝きを備えています。
甲冑に切る銘は刻印だそうです。極印として成立するように最も格式が高いと言われる篆書体を現代の字形に合わせてアレンジし、甲冑ブランドにふさわしいロゴとしています。
伝匠彦根甲冑DATA
direction, design, copy & text : 乾 陽亮
photo : 大野 博
伝匠彦根甲冑は井伊家と彦根城博物館の協力を得て、彦根商工会議所と彦根仏壇事業協同組合が共同で開発しました。事業の継続と製造・販売は彦根仏壇事業協同組合が担っています。
販売価格:¥1,500,000(税別)
展示用レンタル価格:月額 ¥38,000(税別)
着用レンタル価格:1日 ¥100,000(税別)
※詳細は彦根仏壇事業協同組合までお問い合わせください。
彦根仏壇事業協同組合
〒522-0063 滋賀県彦根市中央町3−8 彦根商工会議所3F
TEL.0749-24-4022
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乾陽亮設計事務所
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