“ナナプラス”は金仏壇の産地のひとつである彦根で、その製造や販売に関わる有志が集い「現代の生活に溶込む新しい祈りのかたち」を模索し活動してい団体である。この黒戸(くろと)は“ナナプラス”から依頼を受けてデザインした塗りの仏壇である。
折戸を閉じると漆黒の直方体になり、置かれた部屋で過ごすことに影響を与えるほど強い存在感を持たないことを意図している。しかし軽い存在ではなく、漆黒に塗られた直方体は確かな祈りの対象として控えていることも、仏壇を求める心情としてあるのではないか。そう考えてボリュームや部材の厚さなどを検討した。
直方体の表にウォルナットで作った一本のラインを走らせ、ボリュームを分割し量塊感を軽くすると同時に、この無垢木のラインは仏壇を展開した際には戸板を支える脚になる。表の塗面に傷が付くのを防ぐと同時に、奥行き300mmの棚の上でも設置可能とした。15mmの厚い折戸を開くと戸板がそのまま祈りの場を作る壇となり、高さ175mmまでの本尊や位牌が入る内部が現れる。昨今の需要から骨壺などが入る小さなウォルナットの房を付け、その存在を示す開口部を設けると同時に、写真立てとしても機能するようにした。房の天部には彫刻と蒔絵で散り蓮華を施し、浄土を暗示している。
戸板は開くとそのまま壇になり、祈りのための場を作る。
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size: W375 × D410 × H214mm
黒い戸板を閉じた状態ではシンプルな直方体。
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size: W375 × D211 × H228mm
高さ175mmまでの本尊や位牌が設置できる。
左に設けられたウォルナットの木箱は3寸の骨壺を入れられる房となり、故人の写真を飾る写真立てにもなる。
房の蓋には、ウォルナットに彫刻と蒔絵で散り蓮華を施し、浄土を暗示している。全て彦根仏壇の産地の職人の手による伝統工芸品。
黒戸 DATA
design : 乾 陽亮
photo : 大野 博
販売価格:¥820,000(税別)
※仏具などは別売
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