乾陽亮設計事務所のデザイン NewsLetter #5

西川貞三郎商店「京焼・清水焼 BOOK」

西川貞三郎商店のリ・ブランディングと京焼・清水焼のプロデュース

西川貞三郎商店「京焼・清水焼 BOOK」

西川貞三郎商店「京焼・清水焼 BOOK」

2年ほど前から京都で清水焼を扱う老舗、西川貞三郎商店のリ・ブランディングと清水焼の海外販売促進、そして展覧会などのイベントおよび展示会のお手伝いをさせて頂いています。

清水焼は多品種少量製産で数多の特徴を含んでいますが、それゆえにひと言では表しにくく特徴を伝えにくい側面もあります。まず最初に話し合ったのは、海外で清水焼をどのように見せて行くのかということでした。そこで設定した方針の元で立ち上げた3つのブランド、そのラインアップに整理しながら見せる手法は、清水焼を取り巻く状況を考慮すると素直な回答だったと思います。
1年目はそれに合わせたロゴやパンフを作成し、2年目は充足させる形で商品を開発すると同時に情報の整理や発展を行っていました。手探りの状態から清水焼を海外に売り出し続ける土台を作り続け、3年目に清水焼とその文化の使い方を積極的に提案する「京焼・清水焼 BOOK」を出す運びになりました。

この本は、清水焼を現代の生活に取入れるヒントとなるような情報提供を主題として、清水焼の現代における価値創造を目指しています。特に「京焼・清水焼ある風景」のページでは、日常的に清水焼に親しんでいる方々のお話を伺い、使い方や楽しみ方を紹介しました。その他、清水焼の種類などを掲載した資料ページをまとめて、清水焼そのものと、その周辺にある文化や魅力など、清水焼おおよその全体像が把握でき、生活に導入するためのガイドブックになることを目指しています。

伝統工芸品は高度に洗練され、その高い品質に対して価格は非常に安いと考えることができます。物としての完成度が高いからこそ、逆にイメージ戦略を持たなくても、今まで売れ続けてしまっているようにも感じていました。また、伝統工芸の付加情報というと作り手側に傾きがちなのも残念に思っていました。製造工程の説明などは、生活に取り入れて楽しむこととほとんど関係がなく、使い手の文化が欠落しがちに見えることも多いと感じていました。イメージをつくり、見せ、それを使う文化を育むことはコレからの伝統工芸の分野でも重要になるものと信じています。


IMG: 京焼・清水焼ある風景

京焼・清水焼ある風景

欧州での清水焼の使われ方から、フレンチ会席に取入れられた清水焼、華やかなティーパーティなど、現代の生活を彩どる清水焼のある風景とそのポイントを紹介しています。


IMG: 清水焼の特徴

清水焼の特徴

「製造工程と技法」「絵付けの種類」「かたちの種類」「歴史」など清水焼をおおよそ知ることのできる資料もまとめて掲載しています。


IMG: BOOK / CATALOGUE Design

BOOK / CATALOGUE Design

「京焼・清水焼 BOOK」は別の依頼で作成した「商品カタログ」と統合的に制作することを目指し、表と裏の関係になって足りない部分をお互いに充足し、相乗効果を持つように位置づけて制作しました。
「京焼・清水焼 BOOK」の表紙は清水焼が生活の中使われている風景として、この本の役割を示しています。
 
参考: 商品カタログ
http://www.inuiyosuke.jp/ja/works/id/129/0/


IMG: 西川貞三郎商店

西川貞三郎商店

1917年創業の西川貞三郎商店は京焼・清水焼を扱う老舗でありながら、南部鉄器の鉄瓶急須とコラボした商品などを開発するなど、日本各地の産地と取引しながら伝統工芸品を海外に輸出されています。
輸出に取り組み始めたのは先代の1958年からと、かなり歴史が古く日本の伝統工芸品を海外に出し続けている先駆者です。


IMG: ロゴ「雪月花」

ロゴ「雪月花」

西川貞三郎商店のロゴ、雪月花。
清水焼の他の産地にはない特徴のひとつが、四季を表す季節性と日本の自然を写し取る優雅な絵付け。日本の自然の美を象徴する雪月花をモティーフに、西川貞三郎商店のオリジナル3ブランドとしても展開できるロゴを考案しています。
 
参考:西川貞三郎商店ロゴ
http://www.inuiyosuke.jp/ja/works/id/92/4/


京焼・清水焼 BOOK
Supervisor : 乾 陽亮、西川 加余子、土屋 重陽
Editing & Text : 岩渕 拓郎
design : 乾 陽亮
photo : 梅田 彩華、大野 博
 
出版:西川貞三郎商店
〒605-0841 京都市東山区大和大路五条上ル山崎町377
Tel:075-541-5191
http://www.t-nishikawa.co.jp/
 
※非売品


本メール内容についての問い合わせ先

乾陽亮設計事務所
www.inuiyosuke.jp

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