京都の五条坂で清水焼を扱う西川貞三郎商店のロゴ。
よく言われることだが、京都の伝統工芸には特徴がない。京都は長い期間都であり続け、ありとあらゆる工芸や文化が全国から集まった文化の集積地である。その京都の人々の高度で多様な要望に高い技術で応え続けているのが京都の職人である。全体をみると産地の特徴と呼べるものは設定できないが、個々の職人の技術や技法は特色が強く、多様である。特徴が強い職人が多いからこそ、全体としての特徴を述べることを難しくしている。清水焼も同じことが言える。
清水焼には染付・交趾・金彩・天目・錆釉など、磁器から陶器、絵付けや釉薬も多様であり、高度な要望に柔軟に応えているため手捻りでつくる小さな工房が集まる。器好きからすると垂涎ものの産地である。
西川貞三郎商店は日本の文化が集まる京都から海外に向けても清水焼を発信し始めようとしていたので、日本の自然の美の象徴とされる「雪月花」をモティーフにしたロゴを考えた。日本の文化を育んだ四季などの自然はもちろん、この雪月花はそれぞれ西川貞三郎商店が展開する3つの清水焼ブランド、「見立て」「貞雲」「かより」をなぞらえて表現している。
雪 …… 見立て。釉薬の重なりが織りなす繊細さ。
月 …… 貞雲。澄みきった職人の技と揺るぎない伝統。
花 …… かより。華やかさを愉しむ京の遊び心。