真葛窯の六代 宮川香齋の喜寿を記念して、姫路 山陽百貨店にて開催される個展のちらし。
長3封筒に入る最大サイズ、巾110mmを設定し、1枚の紙を3つ折りにする形ながら、折形(おりかた)の伝統形式に倣う形に整えました。宮川香齋氏の今回の作「色絵 七宝透し 水指」は、透かしと色絵、金彩を施した非常に高い技術で操作された表情であり、その存在をしっかりと見せたかったため、その表情を切り取った写真を大きく掲載しました。拡大写真は施された七宝文様が画面いっぱいに広がり、さながら友禅紙のような表現です。そのため、折形に倣って2枚目に左側から覗く「におい」として扱っています。その文化性と作品の表情を伝える形を第1の表紙として、設定しました。
まずは展覧会の内容と良さを伝えることが重要ですが、次に展覧会に来ていただく方のために情報を見やすくすることも大切です。このちらしでは折り方をひとつ変えるだけで、展覧会の情報を表に出すことができるようにしました。内側の折りを逆にすることで、最後の展覧会情報が表に出てきます。これを第2の表紙として設定しています。行くと決意された方が、机の上に置いて日時を確認したり、手に持って訪れていただけると幸いです。
紙の折りは比較的自由に折り順を変えられるという可能性があります。数多く配布するためには現実的には機械折りである必要がありますが、機械折りでできる形にも、2つ折り、巻き折り、外折り、観音折りなどの折りのパターンがあります。さらに折り巾を不均一に調整すること、折り方法を変えられることなどを駆使すると、かなり多くの表現を行うことができるように感じています。折形という日本の伝統的な紙の文化性とも相性も良いと感じており、今後も取り組んでいきたい表現です。