「すきやきいろは」は京の情緒を今に伝える先斗町にある創業明治44年の老舗である。京の老舗といっても堅苦しい雰囲気ではなく、親しみ易くゆっくり京すきやきを楽しむ店という趣が強い。そこで京の奥座敷という敷居の高さを取払い、しかし品性を持った切っ掛けづくりとして考えた。
実際に旦那や女将、仲居さん達の人柄は「はんなり」でお店は気軽な雰囲気ではあるが、芸術家である旦那がプロデュースした座敷には数多くの現代アーティストが手がけた襖絵、立体造形作品、平面作品などが京の奥座敷に、そこにあるのがごく普通のことであるように配され、非常に洗練された茶屋の空間が用意されている。
このwebsiteはその「はんなり」と「洗練」の絶妙なバランスを表現することを意図しつつ、親しみを抱かせるために遊び心を感じさせる仕掛けをいくつも組み込んだものとしている。全体の構成はシンプルに組み上げ、イコンを使用しながらデザインを進めた。そのため、現代アーティストの作品を全面に押し出すことはせずに独立した展示とし、すきやきいろはの魅力の一端であるという表現に留めている。