京焼を代表する窯のひとつ、真葛窯。1900年のパリ万博で大賞受賞以来、パリで真葛焼に本格的に触れていただく約100年ぶりの催事となる。京焼は多様であるが、ひとつの特徴に風雅な上絵による加飾がある。中でも季節性を伴う上絵付けや造形は、ほぼ京都でしか見られない。今回も季節に合わせた「百合と青楓」が茶会の主題であった。
使い方や要望を整理し、今回はA3のポスターを小さく折り畳む印刷物を提案している。ポスターとしても使われるので、一般的な折りパンフのようなページ構成と言ったシステムは取り入れられないし、折り畳んだ状態にペラッとした表紙を付けた状態も避けたいと考えた。このリーフレットは、どのように折り畳むかがデザインの主題となった。
その解答は折形の手法に求めている。位置を調整して折り畳むことで、折形に倣ったような形が現れる。折った状態では、左側にはポスターの茶盌の一部が現れ、あたかも「青楓」の上絵付けのみを抽出したように折り出している。文字を記載した右側は、下の茶盌が軽く透ける程度の和紙を、折形礼法に倣い右前で重ねた。
また、手にもって広げるという行為が誘発されることから、印刷適性にも優れつつ、裏表に違った手触りがある和紙を株式会社オオウエにご提案いただいている。和紙のさらりと柔らかな触感を指先で受けながら、少し透けた折り重ねを解いていくと茶盌の全体像が現れる仕掛けである。