「輪島塗ぬり工房 楽」の工房案内パンフレット。昨年に作成したカタログ“WAJIMANURI STUDIO RAKU, catalogue 2016”は、その時に必要だった作品写真を並べた図録のような冊子であるのに対し、こちらは「楽」の漆芸を把握しやすい営業ツールとして作成しています。デザインは対になるように、白バックの漆茶椀の写真としました。
「楽」はカタログから商品を見せて売ることが主要な工房ではなく、練乾漆というオリジナル技法を使った香合や水指などの茶道具を主軸におき、変わり塗りや塗り直し、加飾、作り変えなどの特注品などの制作活動をしてしている工房です。つまり人と人の付き合いの中で生まれる漆芸をしていると言えるでしょう。従って、その付き合いを広げることを目的とし、仕事の内容と加飾などの手法の説明が要であると判断してコミュニケーションを促すツールとして成立させています。
複雑もしくは曖昧になりそうな工芸分野の説明をいかに行うかという僕自身の昨今のテーマに対し、パンフレット・デザインというほんの一端ですが、ある程度の形をもって答えられたのではないか、と感じています。