2015年に京焼・清水焼の展覧会「Porcelaines de Kyoto et Kiyomizu / Des céramiques pour le thé qui colorent la vie」がパリ日本文化会館にて開催され、その展示バナー、ポスター、パンフレットなどグラフィック全般のデザインを当事務所で手掛けた。
展覧会は季節や趣向に応じてさまざまに発展してきた清水焼とその文化を伝えるため、描詰、楽焼、天目、金彩、交趾などのさまざまな器を並べ、「茶のある暮らしを彩どる器」としての京焼・清水焼の豊かな表情を示すことを考えている。
会期中に行われる茶の湯のデモンストレーションは真葛窯の宮川真一氏が携わっている。会場デザインは隈研吾氏が手掛けられ、上部から吊った和紙で茶室を設置されている。
グラフィックも、美術館に並ぶような高級品を見せるものではなく、実生活を彩どる器として表現することを目指している。実際に展示される抹茶碗にお茶を点てて撮影し、眺める焼物としての美しさだけではなく、お茶をいただく際の器の風景や雰囲気などを感じてもらえるように心掛けている。ただしあまりに感情的に表現するのではなくある種の禁欲性を持って、つまりグリッド状や直線状に配置し、節度をもって表現することに留意している。そうすることで展示会に望む方が手に取って実際に使っている状況を想像するゆとりが設けられるように感じられたからである。
展示会場のグラフィックは、天井から床面まである大判の和紙に印刷をし、会場の天井から吊り下げて空間演出の一翼を担う形で考えた。なお、大判の和紙と加工の手配は、以前から付き合いのある和紙商、株式会社オオウエの大上博行氏に協力いただいている。